みわっこバスを事例に、岐阜市の地域交通を考える
「運転免許を返納したいけれど、移動が不安。」「高校へ行きたい。でも、どうやって通えばいい?」
岐阜市北部、三輪地域で暮らしていると、こうした「移動」に関する課題を身近に感じることがあります。
自転車で通学する高校生。その道のりには山があり、トンネルもあります。
実際に、車に自転車を積んで、子どもを学校まで送っている保護者の姿もよく見かけます。
三輪北地区では、コミュニティバスの巡回エリアが限られる地域もあります。
「バスはある。でも、どうやってそのバス停まで行くの?」
これは、学生だけの問題ではありません。
通勤する人、買い物に行く人、病院へ行く人、高齢者、子育て世代。
地域には、それぞれの「移動」があります。
だからこそ私は、三輪地域を走る「みわっこバス」を一つの事例として、岐阜市の地域交通について考えてみたいと思います。
そもそも、コミュニティバスとは?
コミュニティバスは、地域の日常生活に必要な移動を支える公共交通です。
岐阜市では現在、21地区でコミュニティバスなどを運行しています。三輪地区では、平成18年10月、加納・市橋・日光とともに4地区の一つとして試行運行が始まりました。※方県・網代地区は「デマンド型乗合タクシー」を採用。
岐阜市のコミュニティバスは、地域住民・行政・交通事業者が協力して、地域の実情に合わせた交通を考える仕組みです。
つまり、単に「行政がバスを走らせる」というものではなく、
地域の人たちが、自分たちの地域の移動をどう支えるのかを考える仕組みでもあります。
現在、三輪地区を走る「みわっこバス」は、岐北厚生病院、バロー粟野店、三田洞神仏温泉、北東部コミュニティセンター、ファミリーパークなどを結んでいます。
みわっこバスを「数字」で見る
現在のみわっこバスは、
- 1日7便
- 1日約151km(水曜日は三田洞神仏温泉が休みのため約147.4㎞)
- 年間242日運行
となっています。

そして、令和8年9月の運営協議会資料によると、年間運行経費は13,233,147円です。
年間242日で単純平均すると、
1日あたり約5万4千円弱
となります。
※これは年間運行経費を年間運行日数242日で単純平均した金額であり、実際の1日ごとの経費を示すものではありません。
ここで大切なのは、「1日5万4千円弱だから高い」「だから安くすべき」という単純な話ではありません。
むしろ、
この約1,323万円で、地域に何を残しているのか。
という視点ではないでしょうか。
継続には、現実的な課題もある
一方で、公共交通を維持するには費用が必要です。
みわっこバスの運行継続判断では、資料上、
① 補助上限額1,320万円以内
② 収支率9%以上
という基準が示されています。
現在の収支率は8.4%。
広告収入などを加えても8.7%程度の見込みで、資料では9%を達成するために36,653円の増収が必要とされています。
つまり、みわっこバスは今、運行をどう持続させていくのかを考える段階にあります。
しかし、私はこの問題を、
「赤字だから、どうする?」だけで終わらせたくありません。

私自身、運営協議会に参加して感じたこと
今回、私は自治会代表者の一人として、みわっこバスの運営協議会に参加しました。
そこで感じたのは、
もっと早く、もっと戦略的に、地域交通の未来を考えられないだろうか。
ということでした。
例えば、
- 高校生の通学に、本当に必要な交通は何か
- 通勤時間帯には、どのような交通が必要か
- 買い物や通院には、どこまで行ければ便利なのか
- 三輪北地区から、どう公共交通につなぐのか
- 岐阜市近郊の地域へ、どう移動できるようにするのか
- 高富線など、既存の路線バスとどう接続・乗り継ぎするのか
こうしたことを、危機が表面化してから考えるのではなく、もっと早い段階から地域の将来像として考えていく必要があるのではないでしょうか。

「地域の実情に合わせる」ために、選択肢を知る
地域交通を考えるとき、地域だけで全てを考える必要はありません。
行政、専門家、事業者、政治家などから
- 他都市ではどんな取り組みをしているのか
- 定時定路線以外にどんな方法があるのか
- デマンド型交通にはどんな可能性があるのか
- バスと自転車をどう組み合わせられるのか
- 既存の路線バスとどう接続できるのか
といった選択肢や事例を示してもらうことも重要だと思います。
例えば津市では、令和8年4月から一部地域で、従来の定時定路線型に加えて、利用者の予約に応じて運行する**「リクエスト型交通」**を導入しました。地域によって、定時定路線型、リクエスト型、両者の組み合わせという3つの形態を採用しています。
もちろん、
「津市の仕組みを、そのまま岐阜市に持ってくればいい」ということではありません。
大切なのは、
「地域には、どんな交通の形が合っているのか?」
を考えることです。
「コミュニティバス」だけを考えない
ここが、今回一番伝えたいことです。
地域交通を考えるとき、「コミュニティバスをこのまま続けるか、なくすか」だけで考える必要はありません。
大切なのは、地域の人たちが、どこへ、いつ、どうやって移動するのか。
その実情に合わせて、さまざまな交通手段を組み合わせることではないでしょうか。
例えば、
🚲 自転車 × コミュニティバス × 路線バス
自転車でバス停まで移動し、コミュニティバスに乗り、さらに路線バスへ乗り継ぐ。
そのためには、バス停周辺の駐輪環境や、既存の路線バスとの接続も考える必要があります。
🚐 デマンド型交通
利用者の予約に応じて運行するデマンド型交通を導入すれば、定時定路線ではカバーしにくい地域や時間帯を補える可能性があります。
🚌 定時定路線 × デマンド型
例えば、
朝・夕 → 定時定路線
昼間 → デマンド型
というように、時間帯によって交通の仕組みを使い分ける方法も考えられます。
朝夕は通勤・通学の需要に合わせて走り、利用者が少ない昼間は予約に応じて運行する。
「一日中、同じ形で走らせる」必要があるのか。
これも考えてみたいところです。
🏫 既存の交通資源をどう活かすか
さらに、岐阜県が運行している特別支援学校専用バスなど、すでに地域で動いている交通資源との連携や有効活用についても、制度上可能なのかを含め、研究する余地があるのではないでしょうか。
もちろん、安全面や運行目的、利用対象など、それぞれに条件があります。
だからこそ、
「できる・できない」を最初から決めるのではなく、まず選択肢を洗い出し、地域に合う方法を検討する。
その姿勢が大切だと思います。
地域に合った「組み合わせ」を考える
公共交通には、定時定路線、デマンド型、路線バス、タクシー、自転車など、さまざまな手段があります。
重要なのは、どれか一つを選ぶことではなく、
「地域の地形、人口、学校、病院、買い物、通勤・通学の実態に、どの組み合わせが合うのか?」
を考えること。
コミュニティバスを守ることが目的ではありません。
岐阜市で暮らす人が、会いたい人に会える、必要なときに、必要な場所へ移動できる。
そのために、今ある仕組みを見直し、新しい選択肢も研究する。
「コミュニティバス」から、「必要な場所へ移動できる地域交通」へ。
これが、今回みんなで考えたいテーマです。
公共交通は「赤字だから終わり」なのか
もちろん、持続可能性を考える以上、収支を無視することはできません。
利用者を増やす。
運行方法を見直す。
広告・協賛など地域で支える方法を考える。
他の交通手段と組み合わせる。
さまざまな方法を検討する必要があります。
一方で、公共交通には、単純な収支だけでは測れない役割があります。
学校へ行く。
仕事へ行く。
買い物へ行く。
病院へ行く。
人に会いに行く。
「移動できる」ということは、地域で暮らし続けるための土台です。
だから私は、
「コミュニティバスを残すか、なくすか」という二択ではなく、
「どうすれば、必要とされ、持続できる地域交通になるのか」
を考えたいと思っています。
もっと開かれた「地域交通」の議論へ
今回、運営協議会に参加して、もう一つ感じたことがあります。
地域交通は、実際に利用する人だけではなく、高校生、通勤・通学者、買い物をする人、子育て世代、高齢者、地域企業など、さまざまな人が関わるテーマです。
だからこそ、できるだけ多くの人が地域交通について知り、意見を出し、考えられる環境をつくっていくことが大切だと思います。
実際に現地に行けなくても、事前にアンケートを収集したり、議事録をみて、意見を出したり、方法はあるはずです。
運営協議会も、短期的な収支だけを見るのではなく、5年後、10年後の地域の移動をどうするのかという視点で議論する。
そして、議論した内容や検討の過程を、地域に分かりやすく伝えていく。
「自分たちの交通」として、地域全体で考えられる仕組みにしていきたいと思います。
皆さんの声を聞かせてください
そこで、今回、無記名アンケートを実施します。
コミュニティバスを利用している方だけではありません。
高校生の皆さんへ
「どこへ、どうやって通っていますか?」
通勤・通学する皆さんへ
「何時に、どこへ行きたいですか?」
高齢者の皆さんへ
「現在、お困りのことはないでしょうか?」
「免許返納した場合、どんな移動が必要ですか?」
買い物・通院する皆さんへ
「どこまで行ければ便利ですか?」
そして、地域の皆さんへ。
「未来の岐阜市には、どんな交通が必要だと思いますか?」
ルート、ダイヤ、バス停、乗り継ぎ、駐輪場、利用者を増やす方法、地域や企業で支える方法など、ぜひ自由に意見をお聞かせください。→アンケートはこちらから。

